サスティナブルでヘルシーなうまい日本の魚プロジェクト

Sustainable, Healthy and “Umai” Nippon seafood project

サスティナブルでヘルシーな
うまい日本の魚プロジェクト

海洋環境と生態系への配慮

クロマグロ(鳥取県)

操業域の環境・生態系情報、科学調査、モニタリング

 1980~88年のマリーンランチング計画、1992~96年の日本周辺クロマグロ調査委託事業、1997年以降の日本周辺高度回遊性魚類資源対策調査などにより、太平洋の日本周辺水域においてクロマグロ仔稚魚調査、幼魚・成魚調査などが実施され、部分的だが利用できる情報がある。太平洋の日本周辺海域において、クロマグロ仔稚魚、動物プランクトン、海洋環境に関する調査を定期的に実施している。1952年から漁業種別の漁獲量、1990年半ばからはえ縄、まき網、ひき縄、定置網などで漁獲物組成等について部分的な情報が収集可能となっている。

引用文献▼ 報告書

同時漁獲種

 混獲利用種に対する影響の評価は、大海区ごとの点数を漁獲量で重み付けした結果、大中型まき網、ひき縄、はえ縄では、影響はなかったが、大型定置網は資源状態の懸念される種も混獲されていたため中程度となった。混獲非利用種に対する漁業種類別の評価は、まき網、はえ縄、ひき縄は影響なしであったが、大型定置網は情報がなかった。環境省による2019年レッドデータブック掲載種の中で、生息域が評価対象海域と重複する動物に対し、漁場ごとにPSA評価を行った結果、全ての漁業種類で総合的なリスクは低いが、海亀類のリスクは中程度とされた。

引用文献▼ 報告書

生態系・環境

【食物網を通じた間接影響】
クロマグロは幼魚期を除けばほぼ生態系の最高位に位置すると考えられるため、捕食者はほぼ存在しない。クロマグロは特定の魚種を選択的に捕食するのでなく、日和見食性とされるため、日本周辺で資源量が大きい多獲性浮魚類、マイワシ、カタクチイワシ、マサバ、ゴマサバ、マアジ、及びスルメイカの合計の資源量をクロマグロの餌と捉えたところ、合計の資源量は安定していた。クロマグロと同じ温帯性マグロであるビンナガ、温帯域に分布の中心があるメカジキ、マカジキ、ヨシキリザメ、及び我が国周辺海域に分布するブリを競争者としてCA評価を行ったところマカジキの資源状態が懸念された。
 
 
【生態系全体への影響】
2004年から2017年の大海区別の総漁獲量と漁獲物平均栄養段階(MTLc)を求めて検討した結果、クロマグロの漁獲量の変動が総漁獲量やMTLcの経年的な変化に及ぼす影響は少ないと推定された。
 
 
【大気・水質環境への影響】
はえ縄、ひき縄、まき網は海底への影響は考えられず、定置網は網を固定するためのおもりやアンカーを使用するほか、大型構造物として沿岸域の流れを変え澱みを作る可能性が懸念された。2018年の評価対象海域を管轄する海上保安部による環境関連法令違反の中で対象漁業が検挙された例は認められず、対象漁業からの排出物は適切に管理されていると判断された。単位漁獲量あたり排出量(t-CO2/t)は大中型まき網は我が国漁業の中でも低いCO2排出量となっているが,沿岸まぐろはえ縄では、全体の中程度であると判断された。

引用文献▼ 報告書