サスティナブルでヘルシーなうまい日本の魚プロジェクト

Sustainable, Healthy and “Umai” Nippon seafood project

サスティナブルでヘルシーな
うまい日本の魚プロジェクト

漁業の管理

スケトウダラ(北海道 日本海)

管理施策の内容

 沖合底びき網漁業1そうびき(以下、沖底)は農林水産大臣許可漁業で公示に基づいて申請し許可証の発給を受けて操業し、刺網漁業(以下、刺網)は道知事の許可証や共同漁業権行使規則により操業している。またスケトウダラはTAC魚種であり、インプット、アウトプット・コントロールが成立している。資源の水準は低いものの漁獲圧を有効に制御する方向にある。沖底、すけとうだら固定式刺網では小型魚(全長34cm未満)が漁獲の20%を超えた場合には漁場移動が約されている。すけとうだら固定式刺網では操業期間、使用漁船トン数の制限が付されて許可されている。沖底禁止ラインが設定され、その陸側では操業できず操業期間は制限されており、海底環境への影響は重篤ではないが一部では変化が懸念され(本評価2.3.4)、刺網については、海底に接した場合も無理にひきずる運用でなく、さけ、ます、かにが漁獲された場合には海中還元される。北海道漁業協同組合連合会では漁民の森づくり活動推進事業を展開している。

引用文献▼ 報告書

執行の体制

 スケトウダラ日本海北部系群は能登半島からサハリンの西岸にかけて分布しているが、近年の主分布域は北海道沿岸となっている。沖底は水産庁管理調整課、同北海道漁業調整事務所が、刺網は北海道が管轄している。現在の資源状態では日本及びロシアは各々の水域に分布する魚を利用している状況にあると考えられ、生息域全体をカバーする管理体制が確立し機能している。沖底は主に水産庁漁業取締本部と同札幌支部が、刺網は北海道が取り締まりを実施している。十分な監視体制が有効に機能し、また法令違反に対する罰則規定は有効である。TAC(漁獲可能量)による管理の結果は引き続く年の資源評価に反映される。ABCやTACは漁期年ごとに1回以上改定されてきており、中期的管理方針等に対して順応的管理と評価できていた。また、改正漁業法に基づく2021年漁期からの新たな資源管理では、最大持続生産量を実現する水準に資源量を回復・維持することが管理の目標となった。本資源では、まずは暫定管理基準値(本資源では限界管理基準値)まで10年以内に回復させる資源再建計画に基づき管理を進めることが、利害関係者が参加する「資源管理方針に関する検討会」での共通認識となった。資源再建計画は少なくとも2年ごとに資源評価に基づき必要な見直しが行われることから、順応的管理が十分に導入されると考えられる。

引用文献▼ 報告書

共同管理の取り組み

 許可や共同漁業権行使規則に基づいた操業であり、沖底漁業者は業種別団体や沿海漁業協同組合に、刺網漁業者は沿海漁業協同組合に所属している。すべての漁業者は特定でき、漁業者組織に所属している。国の作成する資源管理指針に従い、沖底では漁獲量や操業隻日数の上限の計画が立てられており、過年より自主的なプール制度等が試行されてきている。刺網においても漁獲量制限や休漁が実施されている。資源回復計画が実施された経過があるこの資源では漁獲努力量の削減等計画と同様の取り組みを継続する必要があるとされ、遂行されている。北海道機船漁業協同組合連合会は北海道機船漁業地域プロジェクトを主導し、多くの沿海漁業協同組合は付設の市場を運営し北海道漁業協同組合連合会は国内外のマーケットへ道産水産物を安定供給している。自主的及び公的管理への関係者の関与は高く評価できる。利害関係者の参画についても国レベルでの審議会等への関与の度合いから高く評価した。本系群では、令和2年度に3回にわたり「資源管理方針に関する検討会」が開催され、多くの利害関係者の議論を経て管理基準値等の最終化と漁獲シナリオの取りまとめが行われた。資源管理方針に関する検討会での議論に基づき、幅広い利害関係者が参画する水産政策審議会の諮問を経てTACが設定される。

引用文献▼ 報告書