サスティナブルでヘルシーなうまい日本の魚プロジェクト

Sustainable, Healthy and “Umai” Nippon seafood project

サスティナブルでヘルシーな
うまい日本の魚プロジェクト

資源の状態

カタクチイワシ(徳島県 瀬戸内海)

対象種の資源生物研究・モニタリング・評価手法

 カタクチイワシ、並びにその仔稚魚であるシラスは重要な漁獲対象種であり、資源生態に関する調査研究は古くから積極的に進められてきた。分布・回遊、年齢・成長・寿命、成熟・産卵に関する知見は、学術論文や報告書として豊富に蓄積されており、資源評価の基礎情報として利用可能である。漁獲量・努力量データの収集、定期的な科学調査、漁獲実態、産卵量などのモニタリングも毎年行われている。このように定期的に収集される漁業データ、科学調査データに基づき、シラス期を含む月別月齢別漁獲尾数が推定され、齢構成資源動態モデルを使用した資源評価が毎年実施されており、しらす漁況予測も実施されている。資源評価で使用されているデータや検討の場が公開されており、資源評価手法や結果については外部査読が行われている。

引用文献▼ 報告書

対象種の資源水準と資源動向

 資源水準の低位と中位の境界をBlimit31千トン(それ未満では資源回復措置を講じる親魚量)、中位と高位の境界をBlimit と最大親魚量の中間値(76千トン)とした。2015 年の親魚量は68千トンであったことから、資源水準は中位と判断した。最近5年間(2011~2015年)の親魚量の推移から資源動向は横ばいと判断した。

引用文献▼ 報告書

対象種に対する漁業の影響評価

 2015年の親魚量はBlimitを上回っている。現状の漁獲圧Fcurrentは現在の資源量を維持するFlimitより小さいため、現状の漁獲圧であれば対象資源の持続的生産に及ぼす影響はないと考えられる。また現状の漁獲圧であれば資源枯渇リスクは小さいと考えられる。全ての関係府県でイワシシラス、カタクチイワシ、あるいは対象漁業の資源管理指針が策定されている。ABCは不確実性を考慮した管理基準についても設定されているが、それらの値は漁業管理方策には反映されていない。また環境変化が繁殖生態に影響することが知られているが、資源管理には十分に考慮されていない。対象系群全体において、資源評価結果は漁業管理に反映されていない。本系群の漁業管理方策に及ぼす遊漁、外国漁船、IUU漁業などの影響はない。

引用文献▼ 報告書