カタクチイワシ太平洋系群は、愛知県、三重県の船びき網漁業、千葉県、三重県、愛媛県、大分県の中・小型まき網、千葉県、宮崎県の大中型まき網で多くが獲られている。漁業収入について2015年は全国的に漁獲が少なく、収益率と漁業関係資産のトレンドについて、全国平均値(船びき網では個人経営体、中・小まき網では会社経営体)のデータを用いた結果、収益率のトレンドは低かったが、漁業関係資産のトレンドは中程度であった。経営の安定性については、収入の安定性、漁獲量の安定性ともに問題はなかった。漁業者組織の財政状況は上部団体と各県の漁協で経常利益が黒字であった。操業の安全性は高かった。地域雇用への貢献は高いと判断された。労働条件の公平性については、漁業で特段の問題はなかった。
各県とも水揚げ量が多い拠点産地市場がある一方、小規模及び中規模市場が分散立地している。買受人は各市場とも取り扱い数量の多寡に応じた人数となっており、セリ取引、入札取引による競争原理は概ね働いている。取引の公平性は確保されている。関税は10%で、IQが設定されている。卸売市場整備計画により衛生管理が徹底されている。全体の漁獲量ベースでは、餌料等の用途比率が高いと推察されるものの、食用の割合も一定量あった。大きな労働災害は報告されておらず、労働条件の公平性も比較的高いと想定される。以上より、本地域の加工流通業の持続性は高いと評価できる。
先進技術導入と普及指導活動は行われており、物流システムも整っていた。県内自治体の財政状況は全体平均であった。水産業関係者の所得水準はおおむね高い。漁法は地引き網から明治期にまき網に変わった。千葉県九十九里浜沿岸では加工法や料理法が数多く伝えられている。