サワラの資源生態に関する調査研究は古くから進められ、分布・回遊、年齢・成長・寿命、成熟・産卵に関する知見は、資源評価の基礎情報として利用可能である。種苗放流の基礎情報も得られている。漁獲量・努力量データの収集、定期的な科学調査、漁獲実態のモニタリング等も毎年行われている。漁業データ、科学調査データに基づき、年齢別漁獲尾数が推定され、コホート解析による資源評価が毎年実施されている。資源評価の内容は公開の場を通じて利害関係者の諮問を受けて精緻化されている。
2018年の資源量は6,040トンであり中位水準であった。動向は最近5年(2014~2018年)の資源量の推移から減少とされた。
2018年の親魚量はBlimitを若干上回っているが、現状のFはFlimitを上回っている。現状の漁獲圧で漁獲を継続した場合の将来の資源量と親魚量を予測したところ、2025年に資源水準が中位以上となる確率、親魚量がBlimitを上回る確率はそれぞれ5%、3%と低かった。1998年に播磨灘と備讃瀬戸で秋漁の自主休漁が始まり、2002~2011年度に漁業者、行政、研究サイドが構築し実施した資源回復計画では、人工種苗を放流するとともに、流刺網の目合い制限と休漁期設定を柱とする漁獲努力量削減を行った。種苗放流を除くこれらの措置は、2012年度以降も新たな枠組みである資源管理指針・計画のもと、継続して実施されている。サワラ東シナ海系群の急速な資源増加については環境変化の影響と見られているが、サワラ瀬戸内海系群についての情報は得られていない。