ヤリイカは北海道南部以南の沿岸各地で底びき網漁業と定置網漁業を中心に漁獲される。標識放流調査等によって分布回遊に関する知見が蓄積されており、資源評価・管理に利用されている。資源量の変化は漁獲量と沖合底びき網漁業の資料(CPUE)をもとに把握されているものの、資源量が毎年推定されているわけではない。このように定期的に収集される漁業データ、科学調査データに基づき、資源評価が毎年実施されている。資源評価の内容は公開の場を通じて利害関係者の諮問を受けて精緻化されている。
ヤリイカ対馬暖流系群の資源の水準・動向は、低位・横ばいと判断された。
最近5年(2015~2019年)の本系群の漁獲量を見ると、算定された生物学的許容漁獲量(ABC)を上回る回数が多くなっている。ヤリイカの資源量は海洋環境によって変化しやすく、資源が減少した海域では漁獲の影響を受けやすいことが指摘されている。そのため資源量が著しく減少している海域も存在し、海域によっては資源の枯渇リスクが高くなっていると考えられる。そのため、海域ごとに資源管理を実施することも重要である。