本種は重要な水産資源であり、資源生態に関する調査研究は古くから進められてきた。分布・回遊、年齢・成長・寿命、成熟・産卵に関する知見は、学術論文や報告書として蓄積されており、資源評価の基礎情報として利用可能である。漁獲量・努力量データの収集、調査船調査等の定期的な科学調査、漁獲実態のモニタリングも毎年行われている。このように定期的に収集される漁業データ、科学調査データに基づき、雌雄別齢期別資源量が推定され、齢期構成資源動態モデルを使用した資源評価が毎年実施されている。資源評価の内容は公開の場を通じて利害関係者の諮問やパブリックコメントを受けて精緻化されている。
1970年以降の沖合底びき網漁業の資源密度指数(kg/網)の最高値と0の間を3等分し、上から高位、中位、低位とした。資源密度指数は、1970年代初めには100以上で高位水準にあったが、その後1980年代後半には10近くまで低下した。1990年代以降は上昇に転じた後、近年はやや減少している。2017年の資源密度指数は56であり、資源水準は中位である。トロール調査から推定された1999年以降の資源量は、2002~2007年まで増加傾向にあったが、2008年に大きく減少し、その後は増加と減少を繰り返している。2018年の資源量は21,700トンであり、過去5年間(2014~2018年)の推移から、資源動向は増加である。
現状の漁獲圧でも資源の維持および増大が可能であり、加入量の不確実性を考慮した将来予測の結果より、資源が枯渇するリスクは極めて低い。資源評価結果を受けてTACがABCに等しく設定されて、水産政策審議会で承認されており、不確実性を考慮した管理基準が設定されているが施策には反映されていない。農林水産省令に基づく漁業管理に加え、日本海ズワイガニ特別委員会等によりさまざまな自主規制による漁業管理方策が策定、適用されている。日韓暫定水域における資源量は推定されている一方、韓国の漁獲量は把握されていない。