サスティナブルでヘルシーなうまい日本の魚プロジェクト

Sustainable, Healthy and “Umai” Nippon seafood project

サスティナブルでヘルシーな
うまい日本の魚プロジェクト

漁業の管理

トラフグ(愛知県)

管理施策の内容

 愛知県、三重県のふぐはえ縄は海区漁業調整委員会により操業の禁止期間が指示されておりインプット・コントロールが導入されている。小型底びき網漁業は県知事許可漁業であり隻数制限が設けられているが、2003年よりTAE (漁獲努力可能量)が導入され、漁獲努力量(隻日)の上限が設定されてきた。さらに愛知県資源管理指針に基づく資源管理計画では自主的管理措置として休漁に重点的に取り組むとされている。トラフグの資源状態は低位・減少傾向であるが、インプット・コントロールが導入されている。ふぐはえ縄は、海区調整委員会指示により体重制限(600g未満採捕禁止)、親魚保護のための採捕禁止区域が定められ、資源管理指針では公的規制を上回る体重制限、保護区の設定が行われている。小底については資源管理指針で全長25cm以下のトラフグの9、10月の再放流が謳われており、テクニカル・コントロールが導入されている。小底で25cm以下の小型魚を再放流する措置は種苗放流効果を高める措置でもあり、資源管理指針・計画のもとでも継続して実施されている。ふぐはえ縄本体は着底漁具ではないため、海底環境に与える影響は無視でき、ほかの生態系への直接影響も知られていない。小底は海底環境への影響のインパクトが重篤であるとみられるが、影響を制御する規制は見当たらない。愛知、三重両県の資源管理指針では、漁業者自らが藻場・干潟の保護、森林の保全及び整備等により漁場環境の改善に取り組むとされている。三重県漁連では海浜清掃、植林、石けん普及、愛知県でも南知多町で干潟の保全活動が取り組まれている。

引用文献▼ 報告書

執行の体制

 トラフグ伊勢・三河湾系群は三重県、愛知県、静岡県に跨がって分布する広域資源であり太平洋広域漁業調整委員会において漁業管理の検討が行われ、TAEの設定については水産政策審議会で審議されてきた経緯があるなど、生息域をカバーする管理体制が確立し機能している。漁船漁業の監視・取り締まりは関係県当局が複数の取り締まり船により日常的に行っている。体長制限等については水揚げ港等での漁協職員等による監視が可能である。小底は漁業の許可及び取り締り等に関する省令、各県漁業調整規則等に違反した場合、漁業法、各県漁業調整規則の規定により免許、許可の取り消しや懲役刑、罰金あるいはその併科となる。ふぐはえ縄漁業は海区漁業調整委員会指示に違反し県知事の命令にも従わない場合は漁業法により一年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処せられる。本系群はTAC種ではないが、国、愛知県、三重県の作成する資源管理指針において、資源状況、管理目標など、必要な取り組みが述べられ、目標、管理措置は定期的に見直されており順応的管理の仕組みは部分的に導入されていると考えられる。

引用文献▼ 報告書

共同管理の取り組み

 対象となるすべての漁業者は漁業者組織に所属しており、特定できる。ふぐはえ縄、小底とも資源管理指針に基づく自主的管理措置として体長制限、休漁等に取り組んでいることから資源管理に対する漁業者組織の影響力は強いといえる。愛知県、三重県とも漁協、漁連等が販売、加工等の事業を行い、観光業との連携、漁獲物のブランド化等に取り組み、個別の漁業者では実施が困難な経営上の活動を実施し水産資源の価値の最大化に努めている。ふぐはえ縄、小底とも漁業者は関係する会議への出席等を通して資源の自主的管理、公的管理に主体的に参画している。資源管理の意思決定を行う各レベルの会合には、それぞれ学識経験者をはじめ幅広い利害関係者が参画する仕組みが作られており、施策の意思決定については、資源管理指針に則り、定期的に目標と管理措置の検討、見直しが協議されている。種苗放流事業の費用負担については、関係県、漁業者間における費用負担の調整、負担の公平性や低減について検討が行われている。

引用文献▼ 報告書