日本海西部でブリを漁獲する漁業(大中型まき網、中・小型まき網、定置網漁業)の漁業生産は、漁獲量は増加傾向にあるが、まき網での漁獲量変動が大きく、評価が難しいが、漁業関係資産は安定した水準で推移していると評価される。そのため、経営の安定性も定置網漁業は高いと言えるが、まき網漁業での変動が影響して安定性の評価を押し下げる結果となっているが、各漁業でブリが漁獲されない時期などはその他の魚種を漁獲しているため、当該漁業のブリ以外の対象魚種も含めて考えると比較的安定していると考えられる。また漁業者組織の財政状況についても情報がないもの以外については良好であり、操業も安全に行われ、公平性についても他産業に比べ公平と評価された。関係する漁業者全てが地域住民であるため、地域経済にも貢献している。
水揚げ港(産地市場)での価格形成について、セリ、入札において競争原理が働いており、公正な価格形成がなされている。またその市場情報についても公開されており、各種連絡手段によって入手可能となっている。貿易に関しては、輸入関税と輸入割当が行われており、非関税障壁が存在すると考えられる。付加価値の創出については、衛生状態も各自治体が定める衛生基準やHACCP認定制度が設けられており、主に高付加価値(鮮魚)に仕向けられている。水産加工会社数は全国平均よりも低く、地域への貢献度は限られるが、大きな労働災害は発生しておらず、公平性も高いと評価された。
当該水揚げ漁港では、製氷、冷蔵、冷凍施設や道路、空港などのインフラ整備が進んでおり、輸送がしやすい状況にある。また鮮度維持や省コスト化、高付加価値化の取り組みも行われており、水産業関係者の所得水準は平均的な水準にあると考えられる。しかし、生活環境に関しては自治体の財政力指数が全国平均を下回っており、公共サービスの水準は平均に達しないと考えられる。文化面については、古くから京都府の伊根は日本三大ブリ漁場の一つとされ、江戸時代から建て刺し網漁業が行われており、定置網に変遷し、現在に至るという経緯があり、文化的に漁業が継続していると伺える。また、ブリ大根を始めブリは伝統的に郷土料理として受け継がれている。