海洋環境と生態系への配慮

ハタハタ（福井県）

操業域の環境・生態系情報、科学調査、モニタリング

　日本海西部はハタハタ以外にもズワイガニ、アカガレイなど、重要な沖合底びき網漁業対象種が分布しており調査の頻度が高いため底魚生態系に関する一定の情報は得られているが、海洋環境と基礎生産力、低次生産の関係等の生態系モデル構築に必要となる研究例は少ない。当該海域では海洋環境及び漁業資源に関する調査が水産研究・教育機構の調査船・用船、並びに府県の調査船により定期的に行われている。行政機関により県別・漁業種類別・魚種別漁獲量等は調査され公表されているが混獲や漁獲物組成に関する情報は十分得られていない。

同時漁獲種

　沖底による他魚種への影響について、混獲利用種をイカ類(主にホタルイカ)、アカガレイ、ソウハチ、ヒレグロ、ズワイガニ、ホッコクアカエビとしたが、すべての評価対象種の資源は懸念される状態ではなかった。混獲非利用種はキタクシノハクモヒトデとしたが、沖底による混獲の影響は低いとされた。希少種で生息環境が日本海西区と重複する種についてPSA評価を行った結果、全体としてリスクは低い値を示した。

生態系・環境

　食物網を通じたハタハタ漁獲の間接影響について、ハタハタの捕食者と考えられるマダラの資源に懸念はなかった。ハタハタの餌生物としてニホンウミノミ、キュウリエソのPSA評価を実施した結果、リスクは低いと考えられたが資源状態が不明のため中程度の評価とした。ハタハタの競争者と考えられたのはスルメイカ、ソウハチ、ムシガレイ、マダラであるが、複数の資源で懸念が認められた。
　漁獲物の平均栄養段階は低下していたが、サバ類やマイワシの増加にともなうことが要因であり、沖底の影響ではないと判断した。
　海底環境への影響についてみると、日本海西部の沖底かけまわしの漁獲物栄養段階組成に大きな変化は認められないものの、漁業の規模と強度（SI）の評価点は中程度であることから、海底環境の変化が全くないとは言い切れないと判断した。