スルメイカの資源生態に関する調査研究は古くから積極的に進められてきた。分布・回遊、日齢・成長・寿命、成熟・産卵に関する知見は、学術論文や報告書として豊富に蓄積されており、資源評価の基礎情報として利用可能である。漁獲量・努力量データの収集、定期的な科学調査、漁獲実態のモニタリングも毎年行われている。このように定期的に収集される漁業データ、科学調査データに基づき、資源尾数が推定され、資源評価が毎年実施されている。資源評価の内容は公開の場を通じて利害関係者の諮問を受けて精緻化されている。
2020年漁期の親魚量は限界管理基準値(SBlimit)案を下回っている。2020年漁期の漁獲圧は最大持続生産量(MSY)を実現する漁獲圧(Fmsy)を上回っている。親魚量の動向は、近年5年間の推移から横ばいと判断される。
2020年漁期の親魚量はBlimit案を下回り、現状の漁獲圧(F2017-2019)はMSYを実現する漁獲圧を上回っている。将来予測シミュレーションによると、現状の漁獲圧で漁獲を続けた場合、親魚量が5年後にSBlimit案を上回る確率は41%であった。算定された生物学的許容漁獲量(ABC)は、有識者や利害関係者からなる水産政策審議会を通じてTAC(漁獲可能量)設定等の漁業管理に反映される仕組みが確立されている。