サスティナブルでヘルシーなうまい日本の魚プロジェクト

Sustainable, Healthy and “Umai” Nippon seafood project

サスティナブルでヘルシーな
うまい日本の魚プロジェクト

地域の持続性

ウルメイワシ(宮崎県)

漁業生産の状況

 日本太平洋南部におけるウルメイワシは,中小型まき網漁業によって漁獲されており,主要な生産県は三重県,和歌山県,高知県,愛媛県,大分県,宮崎県であり,それらの県における,漁業関係資産は比較的高い水準で推移していた。中小型まき網漁業の経営の安定性は,多獲性魚類であるイワシ類を漁獲対象としていることから一般的には安定しないといえるが,本地域では比較的安定していた。特に,当該漁業と関連の強い漁業者組織の財政状況は黒字であった。操業の安全性について,H28年の死亡事故は無く,また,地域雇用への貢献も高いと評価された。労働条件の公平性については,漁業で特段問題も無かった。

引用文献▼ 報告書

加工・流通の状況

 各県の産地魚市場数は,三重県52,和歌山県46,高知県41,愛媛県31,大分県18,宮崎県18もあり,その大半が小規模であり,競争的ではあるが,完全競争市場とはいえない。その一方で,水揚げ情報,入荷情報,セリ・入札の開始時間,売り場情報などは市場関係者に公表されており,取引の公平性は担保されている。一部の水産物を除き,本格的な輸出の実態はなく,ウルメイワシも同様の状況である。各県の産地魚市場では,消費者ニーズの高い高鮮度水産物供給をめざして改善に取り組んでいる。カタクチイワシのように干物のイメージが強いウルメイワシであるが,当該地域は大型魚の割合が高く,鮮魚としても流通している。操業の安全性,地域雇用への貢献,労働条件の公平性については特段問題も見られなかった。

引用文献▼ 報告書

地域の状況

 鮮度保持が重要なイワシ類において,氷は必要不可欠で,冷凍・冷蔵施設は価格維持において重要な役割を果たすが,当該地域は水揚げに応じた施設や調整が十分に行われていた。先進技術導入と普及指導活動は行われており,物流システムも整っていた。県内自治体の財政状況はやや低いものの,水産業関係者の所得水準はやや高めの状況にあった。地域文化の継承であるが,ウルメイワシ漁はまき網での漁獲の他に土佐湾中央部では伝統的な多鈎釣りにおいても行われており、まき網や多鈎釣りの水揚げ地においては、鮮魚での出荷の他、付加価値付けのため丸干し等の従来からの干しものへの加工が引き継がれてきている。

引用文献▼ 報告書