愛知県のあなごかご漁業は海区漁業調整委員会指示によって漁具数を規制されている。小型機船底びき網漁業は県知事許可漁業であり、隻数制限が設けられるとともに資源管理方針により漁獲努力量の上限が決められている。さらに愛知県資源管理指針に基づく自主的管理措置として休漁に重点的に取り組むとされている。このように両漁業ともインプット・コントロールが導入されている。テクニカル・コントロールについては小型魚保護のため、かご網は愛知海区漁業調整委員会指示により目合の制限がなされ、資源回復計画、資源管理指針でかご網、及び小底について、10・11月の全長25cm以下のアナゴの再放流に取り組み、小底(まめ板網)で網目の拡大が導入されている。かご網は海底環境等への影響は軽微であると推察される。小底は海底環境への影響が大きいとされるが、影響を制御する規制は見当たらない。愛知県資源管理指針によれば漁業者自ら水質の保全、藻場・干潟の造成及び森林の保全・整備等で漁場環境の改善に取り組み、南知多町等の市町で干潟の保全活動が取り組まれている。
マアナゴ伊勢・三河湾系群は三重県、愛知県に跨がって分布する広域資源であるが、広域資源に対する資源管理を担う組織として太平洋広域漁業調整委員会が存在し、分布域をカバーする管理体制が確立している。漁船漁業の監視・取り締まりは愛知県が複数の取り締まり船により日常的に行っている。体長制限等については水揚げ港等での漁協職員等による監視が可能である。小底については諸規則に違反した場合、許可の取り消しや懲役刑、罰金あるいはその併科となる。かご網は愛知海区漁業調整委員会指示に違反し県知事の命令にも従わない場合、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処せられる。本系群は愛知県の資源管理指針において管理目標、管理施策が存在し5年ごとに計画の成果を評価し計画を見直すこととなっており、順応的管理の仕組みは部分的に導入されていると考えられる。
対象となるすべての漁業者は漁業者組織に所属しており、特定できる。自主的管理措置として休漁日の設定、小型魚再放流等に取り組んでいることから資源管理に対する漁業者組織の影響力は強いといえる。漁業者組織は販売等の事業、漁獲物のブランド化など、経営上の活動を実施し水産資源の価値最大化に努めている。漁業者は関係する会議への出席等を通して資源の自主的管理、公的管理に主体的に参画している。資源管理の意思決定を行う各レベルの会合には、それぞれ学識経験者をはじめ幅広い利害関係者が参画する仕組みが作られており、施策の意思決定については、資源管理指針に則り、定期的に目標と管理措置の検討、見直しが協議されている。