サスティナブルでヘルシーなうまい日本の魚プロジェクト

Sustainable, Healthy and “Umai” Nippon seafood project

サスティナブルでヘルシーな
うまい日本の魚プロジェクト

資源の状態

イカナゴ(愛知県)

対象種の資源生物研究・モニタリング・評価手法

 イカナゴ伊勢・三河湾系群についての分布・回遊、年齢・成長・寿命、成熟・産卵に関する知見は、本種の生活史が伊勢・三河湾内及び渥美外海に限られるため比較的多い。継続的な科学調査、漁獲・生物データの収集、漁期前後のモニタリングは毎年行われている。定期的に収集される漁獲データに基づき、資源評価が毎年実施されている。

引用文献▼ 報告書

対象種の資源水準と資源動向

 漁獲のあった年は主要水揚げ港で日々漁獲量の把握と漁獲サイズが計測されており、DeLury法によって加入資源尾数、漁獲尾数、残存資源尾数が把握されていた。2016年からの禁漁後は、漁期前に行う新規加入量調査結果を資源量指標値として用いていた。資源水準の基準は、1979~2015年まで突出して多かった1992年を除く加入資源尾数の最大値と最小値間を三等分し、それぞれ高位、中位、低位として判断されてきた。2018年からは漁期前に行う新規加入量調査で仔稚魚が採集されておらず、2020年は低位、動向は便宜的に横ばいと判断した。

引用文献▼ 報告書

対象種に対する漁業の影響評価

 本系群では、漁業管理方策に基づいてABCが算定されるが、漁業の現場では漁期中に更新される情報をもとにDeLury法による評価を行い終漁日を設定するなど、漁業管理方策に基づいた管理が実践されていた。2018年以降は直接的に生存が確認されておらず資源の水準は低位、動向は便宜的に横ばいとした。日本周辺海域に生息する個体群についての希少性評価によると現状の漁獲圧において資源が枯渇するリスクは低かった。資源評価の結果を受けて設定されるABCは漁業管理方策に基づいているが、再生産関係が明瞭でない本系群においては、漁期中にDeLury法によって計算される結果に基づいて終漁日を判断する方策が実効的である。一方、現代の環境変化にともなう夏眠魚の減少等は漁獲以上の影響を及ぼしていることが危惧される。

引用文献▼ 報告書