ブリは日本全国で漁獲される重要種であり、資源生態に関する調査研究は古くから積極的に進められてきた。年齢・成長、成熟・産卵および初期生残に関する知見は、学術論文や報告書として豊富に蓄積されており、資源評価の基礎情報として利用可能であるが環境要因とのかかわりなど更なる調査研究が必要な項目もある。漁獲量・努力量データの収集、定期的な科学調査、漁獲実態のモニタリングも毎年行われているが、カンパチやヒラマサを含むブリ類としての漁獲量しか集計されていない。このように定期的に収集される漁業データに基づき、年齢別漁獲尾数が推定され、年齢構成資源動態モデルを使用した資源評価が毎年実施されている。
資源水準は、1952年からのデータが利用でき漁獲努力量が比較的安定している定置網の漁獲量により2015年は高位、資源動向はコホート解析による近年5年間(2011~2015年)の資源量の推移から、増加と判断している。
ブリは現状の漁獲圧で漁獲を継続しても資源水準は維持されると推定されており、資源の枯渇リスクは低いと考えられる。ただし、2015年の加入尾数は7,522万尾で、2014年まで6年連続で1億尾を超えていた近年の中では低い水準となり、今後の加入動向に注意する必要があるとの注意喚起がなされている。