サスティナブルでヘルシーなうまい日本の魚プロジェクト

Sustainable, Healthy and “Umai” Nippon seafood project

サスティナブルでヘルシーな
うまい日本の魚プロジェクト

漁業の管理

マダイ(大分県 瀬戸内海)

管理施策の内容

 各県の吾智網、小型底びき網については、県知事が許可漁業の諸条件を設定する際に県の海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。各県で策定されている資源管理指針を基に作成される自主的な資源管理計画として、休漁等が取り組まれてきた。釣りは自由漁業であるが漁業者は漁業者組織に属しており、自主的管理措置(休漁)が導入されている。したがって吾智網、小底、釣りはインプット・コントロールが成立しており、マダイ瀬戸内海中・西部系群の資源状態は高位・増加であることから漁獲圧は制御できていると考えられる。公的規制として、小底については育成場保護のため藻場でのひき網禁止、7~9月の12cm以下のマダイの採捕禁止が決められている。吾智網、小底、釣りではさらに自主的規制として小型魚再放流及び産卵親魚保護等が取り組まれており、多くの海域でテクニカル・コントロールの施策が導入されている。各県は第7次栽培漁業基本計画において、放流種苗の保護、育成のための措置として、生息適地(藻場・干潟等)の維持・増大、資源管理との連携による生残率向上を謳っている。資源管理との連携では、各漁業で小型魚の再放流等が取り組まれている。小底をはじめ各漁業による生態系特性の変化は認められず海底環境への影響は重篤ではないと考えられる。各県の漁業者は自ら生態系・環境の保全・修復活動に取り組んでいる。

引用文献▼ 報告書

執行の体制

 吾智網、小底のように知事許可に基づき営まれる漁業の管理主体は各県となるが、広域に分布する資源の管理に係る機関として瀬戸内海広域漁業調整委員会が設置されており、生息域をカバーする一元的な管理体制が確立している。吾智網、小底のような漁船操業の監視は県の取締当局で実施し、水産庁漁業取締本部神戸支部が連携している。各県の資源管理指針に基づく資源管理措置の履行確認は各府県に設置した資源管理協議会が行っている。水揚げは基本的には地元漁協等地域の地方卸売市場になされ、漁獲物のサイズの確認等は漁協職員や漁業者団体等による「とも監視」が行われる体制は整っている。政令、及び各県漁業調整規則等に違反した場合、漁業法、各県漁業調整規則の規定により有効な罰則規定が設けられている。各県資源管理指針に基づく自主的な資源管理計画については、策定後4年を経過した次の年度に計画の適否が評価されるため、間隔は長いが資源状態に合わせて順応的に管理施策を更新できる体制が採られている。

引用文献▼ 報告書

共同管理の取り組み

 評価対象漁業者は実質全員漁業者組織に属しており特定可能である。各漁業の資源管理計画では自主的な規制が強く働いていることから資源管理に対する漁業者組織の影響力は強いといえる。各県の漁業者組織は販売、加工、活魚出荷による高付加価値化等の経営上の活動を実施し水産資源の価値を最大化している。各県の漁業関係者は資源の自主的管理、公的管理に主体的に参画していると考えられる。海区漁業調整委員会には、委員会の所掌事項に利害関係を有しない者を含むことが義務付けられ、瀬戸内海広域漁業調整委員会には学識経験者の選任が義務づけられるなど、資源管理には幅広い利害関係者が参画している。資源管理計画については、計画、実施、評価、改善のサイクルを着実に実施することで適切な資源管理の推進を図るとされるが、漁業者及び関係団体が資源管理協議会における評価・検証、目標や管理措置の見直しに十分参画できていないのではないかと危惧される。種苗放流については、愛媛県、大分県では事業実施の段階にあり、受益者から応分の負担がなされている。

引用文献▼ 報告書