サスティナブルでヘルシーなうまい日本の魚プロジェクト

Sustainable, Healthy and “Umai” Nippon seafood project

サスティナブルでヘルシーな
うまい日本の魚プロジェクト

漁業の管理

ヨシキリザメ(千葉県)

管理施策の内容

 近海まぐろはえ縄漁業(近海かつお・まぐろ漁業)は大臣許可漁業の指定漁業である。中西部まぐろ類委員会(WCPFC)の保存管理措置に従い気仙沼を基地とするまぐろはえ縄漁船を対象に、さめ類を目的としたはえ縄漁業管理計画が作成され、年間陸揚げ量の上限は7,000トンに設定されている。インプット・コントロールとアウトプット・コントロールが実施され、漁獲圧を有効に制御できている。評価対象とした近海まぐろはえ縄漁業の漁船は120トン未満に制限されている。はえ縄漁業管理計画においてはシャークラインの使用は禁止され、水揚げまでヒレを胴体から切り離さないことも約されている。海亀や海鳥の保存管理措置のための漁具制限、クロトガリザメ、ヨゴレの採捕禁止が行われている。科学オブザーバー調査分析事業が実施されている。気仙沼市海洋プラスチック対策推進会議に関係漁業者団体が参画し、アクションプランが実施されている。燃油削減の計画が実施されてきたが、さらに現状から10%削減に取り組まれている。

引用文献▼ 報告書

執行の体制

 ヨシキリザメは黒潮~親潮移行帯から天皇海山群の海域まで幅広く分布しており、季節的な東西移動を示す。近海まぐろはえ縄漁業は水産庁国際課かつお・まぐろ漁業室が所管しており、近海まぐろはえ縄漁業者は業種別の組合に所属し、生息域をカバーした管理体制が確立し機能している。WCPFC等の締約国の検査官が公海域で乗船及び検査の受入れを要請し漁業監督官が検査官を乗船させることを指示した時には、検査官が行う検査を拒むことはできない。また、農林水産大臣が必要と認めた時にはオブザーバーを乗船させなければならない。監視体制と罰則規定は有効に機能している。近年のWCPFC等での資源評価や保存措置の協議を踏まえた我が国への管理措置の導入を順応的管理に準じる施策と評価した。

引用文献▼ 報告書

共同管理の取り組み

 大臣許可漁業の指定漁業である近海かつお・まぐろ漁業に含まれる北太平洋で操業する近海まぐろはえ縄漁業者はすべて特定でき、漁業者は業種別漁業協同組合に所属している。近年では、はえ縄漁業管理計画の内容に加えてヨシキリザメ出産期の漁獲抑制に取り組んでいる。気仙沼漁業協同組合が主導して気仙沼地域漁業復興プロジェクト(近海まぐろはえ縄漁業に係る復興計画、既存船活用の2計画)が実施され、協業の株式会社が設立されている。さらに、全国近海かつお・まぐろ漁業協会が主導して資源管理・労働環境改善型漁船の計画的・効率的導入の実証を行っている。自主的及び公的管理への主体的な出席も適切になされている。サメの持続的利用、高付加価値化等の課題への取り組みは、気仙沼市にとって産業の活性化に繋がるものとされ、加工流通業者を中心にサメの街気仙沼推進協議会が設立されている。水産政策審議会資源管理分科会には、多分野からの特別委員が参画している。漁業情報等により北太平洋まぐろ類国際科学小委員会(ISC)で資源評価が行われ、利害関係者も出席するWCPFCにおいて検討された保存管理措置に従い、国が策定したさめ類を目的としたはえ縄漁業管理計画が実施されている。

引用文献▼ 報告書