分布・回遊、年齢・成長・寿命、成熟・産卵に関する知見は、学術論文や報告書として豊富に蓄積されており、資源評価の基礎情報として利用可能である。漁獲量・努力量データの収集、定期的な科学調査、漁獲実態のモニタリングも毎年行われている。このように定期的に収集される漁業データ、科学調査データに基づき、年齢別漁獲尾数が推定され、齢構成資源動態モデルを使用した資源評価が毎年実施されている。資源評価の内容は公開の場を通じて利害関係者の諮問やパブリックコメントを受けて精緻化されている。
最近年の漁獲係数Fをチューニングで推定したコホート解析(tuned VPA)により各漁期年の年齢別資源尾数が1995年から推定されている。当該解析手法については複数の外部有識者(大学の専門家)によるチェックを毎年受けることで客観性を担保している。1995年以降の親魚量および資源量の推移から資源水準を判断し、親魚量3.8万トン(Blimit)以上を中位水準、それ未満は低位水準、北方への分布域拡大の目安となる資源量30万トン以上を高位水準とした。2015年の親魚量は21.1万トン、資源量は44.3万トンであったことから、資源水準は高位と判断される。過去5年間(2011~2015年)の資源量の推移から資源動向は減少と判断される。
現状の漁獲係数Fcurrent(近年5年(2011~2015年)の平均)は、F0.1よりやや高いものの、F30%SPRをやや下回っていることから、現状の漁獲圧は高くないと考えられる。算定されたABCを基に毎年TACが決定され、配分される仕組みが定着している。算定されたABC(生物学的許容漁獲量)は、水産政策審議会を通じてTAC(漁獲可能量)設定などの漁業管理に反映される仕組みが確立されている。