サスティナブルでヘルシーなうまい日本の魚プロジェクト

Sustainable, Healthy and “Umai” Nippon seafood project

サスティナブルでヘルシーな
うまい日本の魚プロジェクト

資源の状態

マアジ(茨城県)

対象種の資源生物研究・モニタリング・評価手法

 マアジは重要な水産種であり、資源生態に関する調査研究は古くから積極的に進められてきた。分布・回遊、年齢・成長・寿命、成熟・産卵に関して学術論文や報告書が豊富に蓄積されているが、太平洋系群の産卵場について不確定な要素がある。漁獲量・努力量データの収集、定期的な科学調査、漁獲実態のモニタリングも毎年行われているが科学的調査で得られるデータは限定的。このように定期的に収集される漁業データ、科学調査データに基づき、年齢別漁獲尾数が推定され、齢構成資源動態モデル(tuned VPE)を使用した資源評価が毎年実施されている。資源評価の内容は公開の場を通じて利害関係者の質疑やパブリックコメントを受けて精緻化され、算定されたABC(生物学的許容漁獲量)は、水産政策審議会通じてTAC(漁獲可能量)設定などの漁業管理に反映される仕組みが確立されている。

引用文献▼ 報告書

対象種の資源水準と資源動向

 最近年の漁獲係数Fをチューニングで推定したコホート解析(tunedVPA)により各魚期年の年齢別資源尾数が1982年から推定されている。当該解析手法については複数の外部有識者(大学の専門家)によるチェックを毎年受けることで客観性を担保している。
 1982 年以降の33 年間の親魚量の推移から資源水準を判断し、親魚量2.4万トン(Blimit)以上を中位水準、それ未満は低位水準とする。、中位と高位の境界は、親魚量の最低~最高値の三等分により4.7万トンとする。2014 年の親魚量は3.5万トンとBlimit を上回っていることから、資源水準は中位と判断される。過去5 年間(2010~2014 年)の資源量の推移から資源動向は横ばいと判断される。

引用文献▼ 報告書

対象種に対する漁業の影響評価

 資源を現状維持するとされる管理基準Fmedは現状の漁獲係数(Fcurrent)より低く、現状の漁獲圧を維持した場合、持続的生産に悪い影響は及ぼさないと考えられる。算定されたABCを基に毎年TACが決定され配分される仕組みが定着している。

引用文献▼ 報告書