サスティナブルでヘルシーなうまい日本の魚プロジェクト

Sustainable, Healthy and “Umai” Nippon seafood project

サスティナブルでヘルシーな
うまい日本の魚プロジェクト

地域の持続性

アオギス(大分県 瀬戸内海)

漁業生産の状況

 平成21年をベースとした過去10年間の中津市の漁業の収入比率は50%を割っており、漁獲量では51%減っている。就業者数もここ10年で4,768人から2,983人へと38%減少していることため、漁業規模の減少は著しいが、人員の減少が漁獲量や資産の減少の大きな一因となっていると考えられる。しかし、近年の漁業収入や漁獲量の変動は20%強にとどまり、経営は低位ながらも安定していると言える。総じて、残存漁業者の経営の安定性は低くはないと想定される。なお、同漁業の団体(大分県漁協中津支店)の収支は黒字であり組織の経営は持続的であると言える。また組合員はその地域に住み、地域の経済に貢献しており、労働災害や労働条件の公平性に関して大きな問題は報告されていない。

引用文献▼ 報告書

加工・流通の状況

 評価対象地域内の水産加工・流通業は、入手可能データの制約上、同漁業による効果のみを抽出して評価することは困難であったため、水産加工・流通業全体を評価し、その平均値を全体評価とした。
 まず水揚げ港(産地市場)での価格形成について、一定数の買受人による相対と競りが行われているが、規模が不明であるため、非常に競争的かどうかは不明である。また、市場情報も公開されている。アオギスについては10%の輸入関税が設定されているが、輸出に耐える安定供給が不可能であり、貿易の機会はないと言える。大分県は大分ブランドの確立に向け、衛生管理の改善を目指しており、付加価値創出に努めている。また、アオギスはほとんどが鮮魚で出荷されており、付加価値は高い。大分県の水産加工会社数は全国平均の0.668倍であり、水産業が地域雇用や地域経済に大きく貢献しているとは言えない。労働災害発生率は1,000人中3人と高かったが、食品加工業のデータが入手不可能だったため、製造業全体のデータを使用した点に留意する必要がある。大分県水産加工業の労働条件については、問題は報告されておらず、外国人実習生についても労働基準関係法令が適用されている。以上より、本地域の加工流通業の持続性は総じて平均的水準であると評価した。

引用文献▼ 報告書

地域の状況

 本漁業が水揚げする漁港では、製氷、冷蔵、冷凍施設や道路、空港などのインフラ整備が進んでいる。漁業指導も行われているが、医療や教育など地域生活に重要な公共サービスは全国の平均的な水準よりも低いことが想定される。水産業関係者(農林水産業関係者で代理)の店得は地域内平均よりも3割ほど低い。文化面について、アオギスの漁獲が確認されている大分県中津市には江戸時代から伝わる伝統漁法である囲い刺し網漁があり、その体験会などが行われているが、伝統的な食文化が継承されているかは不明であった。

引用文献▼ 報告書