産卵場、着底稚魚、標識放流により分布と回遊の知見が整い、再生産に関わる海洋環境変動の影響が検討されている。産卵期、産卵場に関する知見が整っている。放流適地が伊勢湾内であること、放流適サイズが全長4~5cmであることが把握されている。産着卵調査、浮遊期仔魚調査、稚魚調査が実施されている。漁獲量は1993年漁期以降把握されており2019年漁期の漁獲量は1993年漁期以降で2番目に少ない66トンであった。小型底びき網漁業については1993年漁期以降、ふぐはえ縄漁業については1995年漁期以降の努力量の情報が整理されている。ふぐはえ縄漁業については漁船別取引記録(水揚伝票)について独自調査の蓄積がある。魚価が高く産業ニーズが強いため標本の入手が困難であり、生殖腺の計測等の詳細情報は不足している。人工種苗放流尾数は水産研究・教育機構等による栽培漁業種苗生産、入手・放流実績により得ている。放流種苗の混入率並びに添加効率を推定するために、2000年漁期から各種標識が種苗に施されている。定期的に収集される漁業データに基づき資源評価が毎年実施されている。資源評価の内容は公開の場を通じて利害関係者の諮問を受けて精緻化されている。
資源水準は低位、動向は減少と判断された。
資源評価結果を踏まえ大規模な種苗放流による加入の増加、資源管理指針・計画のもとでの未成魚の獲り控え等が取り組まれている。評価の不確実性を考慮した管理基準値も提示しているが施策には反映されていない。海洋環境とRPSの関係、漁況と海況の関係が調査されているが、資源管理には反映されていない。関係県のふぐはえ縄漁業者、試験・研究機関、行政機関、栽培漁業センター、水産関係団体・法人、大学等からの参加者により、持続的な漁業生産並びに儲かる漁業の実現に向けた議論を行う場を設けている。産卵場に集群するトラフグを狙った遊漁が一部の海域で問題視されているものの、当該海域では外国漁船との競合はない。毒魚であるトラフグは取り扱い、流通ルートが限定されるためIUU漁業が行われにくい。