マアジは重要な漁獲対象資源であり、資源生態に関する調査研究は古くから進められてきた。分布・回遊、年齢・成長・寿命、成熟・産卵に関する知見は、学術論文や報告書として蓄積されており、資源評価の基礎情報として利用可能である。漁獲量・努力量データの収集、漁獲実態のモニタリング、科学調査も毎年行われている。このように定期的に収集される漁業データに基づき、年齢別漁獲尾数が推定され、齢構成資源動態モデルを使用した資源評価が毎年実施されている。資源評価の内容は有識者の意見を受け精緻化されている。
本系群の2021年の親魚量SB2021は29.1万トンであり、目標管理基準値であるMSYを実現する親魚量SBmsy(25.4万トン)を上回っている。動向については直年5年間(2017~2021年)の親魚量の推移から増加と判断された。
現状の親魚量はSBmsyを上回っており、現状の漁獲圧は最大持続生産量MSYを実現する漁獲圧(Fmsy)を下回っており、現状の漁獲圧で漁獲を続けた場合、資源枯渇リスクは殆どないと考えられる。最終的な評価結果及び次年度のABC(生物学的許容漁獲量)は、科学的提言としてTACや団体などの漁業管理に反映される仕組みが確立されている。