浅縄(あさなわ) | Shallower set
まぐろはえ縄において、深縄と対照的に夜間メカジキを狙う際には、表層付近を狙うため浅い水深に漁具を設置する。通常は 1 鉢(ひとはち:縄の浮き玉と浮き玉の間)当り枝縄 3 〜 4 本を用いる。→深縄
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亜熱帯収斂線(あねったいしゅうれんせん) | Subtropical Convergence
中緯度・亜熱帯海域を東西に走る表面流の弱い収束線で亜熱帯収束線とも呼ばれる。南半球では、各大洋の中央水と亜南極海域の水塊との境をなしている。北太平洋では中央水内部での南西流と北赤道海流との間にある収束線を指すのが普通であるが、あまり明確な前線ではない。
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アーカイバルタグ | Archival tag (data storage tag)
データ記録式標識。温度・圧力・照度等のセンサーを持ちそれらのデータや演算処理した情報(緯度経度等)を連続的にメモリーに記録する。情報取得のためには装着した魚類等が再捕獲されアーカイバルタグが回収される必要がある。
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一般化線形モデル | GLM (Generalized Linear Model)
魚の成熟率のように 0 から 1 の間の値しかとらない量や、漁獲尾数のようにとびとびの値しかとらない量を正規分布の場合の線形モデルと同様に解析するのに用いる。扱える確率分布はポアソン分布やガンマ分布、二項分布など指数分布族と呼ばれる確率分布の種類で、実用上重要な確率分布の多くがこの範疇に属する。この手法は、Nominal CPUE から資源の変動要素のみを抽出する CPUE の標準化に用いられる。
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一般化プロダクションモデル | Generalized Production Model
漁獲に対する資源の反応(生産曲線)が MSY を中心に対称、非対称のどちらでも有り得るもの。
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違法・無報告・無規制漁業 | IUU fisheries (Illegal, Unreported and Unregulated Fisheries)
違法で管理されておらず、どこにもその漁獲を報告しない漁業。
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海亀混獲回避装置 | TED (Turtle Excluding Device)
エビなどを対象とするひき網漁法において、漁獲対象種を逃がさずに海亀だけを選択して逃がす脱出装置。仕組みとして、魚は通るが海亀は通ることができない幅の格子状のロープを網の途中に設置することによって海亀だけが外部に排出される。
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大目流し網 | Large mesh drift gill net
海の表層に分布するまぐろ類、かじき類、いか類を対象にやや網目の大きい刺網を用いて表層で漁獲する漁法。主に夜間に網を設置する。→流し網、刺し網
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オペレーティングモデル | Operating Model (OM)
個体群動態、漁獲、資源評価、管理も含めたシミュレーションモデル。資源評価モデルにオペレーティングモデルで作られたシミュレーションデータを解かせて、オペレーティングモデル(仮想の現実)での真の答えと比較することで資源評価モデルの問題点を検討することが出来る。また MP のような管理方策の検討も行うことも可能である。ケープタウン大学のバタワース教授が名付け親。
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オリンピック方式 | Olympic style (fisheries management)
漁獲割当量の総枠を決めて、早い者勝ちで漁獲枠の消化を行う資源管理。
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加入乱獲 | Recruitment Overfishing
漁獲圧が高く、加入量の減少をもたらすほど親魚量が漁獲によって減少すること。
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加入量当り漁獲量 | YPR,Y/R (Yield Per Recruitment)
データとして年齢別体重、自然死亡係数、年齢別加入割合を用いる。一定の加入がある場合、ある年齢別選択率と漁獲の強さによって得られる漁獲重量を加入(1 尾)あたりで表す。大きいほど得られる漁獲量は大きくなる。
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加入量当たり産卵資源量 | SPR ( Spawning Per Recruitment)
データとして年齢別体重、成熟割合、自然死亡係数、年齢別加入割合を用いる。管理目標が資源水準の維持なら SPR = 1/RPS、資源の回復を目標とするなら SPR > 1/RPS とする。
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加入量(尾数) | R (Recruitment)
体サイズの成長や海遊にしたがって初めて漁獲対象になった魚の量(尾数)。VPA 等の資源評価モデルの中では単に資源評価モデルの中で最小年齢(0 歳あるいは 1 歳の事が多い)魚の量(尾数)を指すこともある。
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感度解析 | Sensitivity Analysis
資源評価の際に、特定のパラメータの影響を評価するため、そのパラメータを変化させて結果に及ぼす影響を検証すること。
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管理基準 | Reference Points
資源管理を行う際に、乱獲等を判断するための基準となる量。
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管理戦略評価 | MSE(Management Strategy Evaluation)
漁獲決定ルールや管理方式の期待される性能を、資源の個体群動態、漁業データ等の仮想データ上でのシミュレーションで評価する仕組み。
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管理方式 | MP (Management Procedure)
資源や漁業が変化した際に、管理措置(例えば TAC)を決めるために一連の手順を事前に決定する仕組み。IWC の改訂管理措置(RMP)やミナミマグロのバリ方式がその代表例。
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管理目標 | Management Objectives
資源管理で達成すべき目標。例:MSY を達成する等
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極前線(寒帯前線) | Polar front
寒帯気団と熱帯気団との境界にできる前線。北太平洋では親潮と黒潮の境界域(混合水域)を指す。
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近親遺伝解析 | Close-kin analysis
親と子のような近親関係をもつ個体のペアでは、遺伝子を共有していることを利用して、例えば親魚と幼魚から遺伝子標本を統計的サンプリングした際の近親関係のペアの頻度から親魚の個体数を推定する手法。ミナミマグロで初めて実用化された。
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漁獲決定ルール | Harvest Control Rule (HCR)
管理基準等で判断される資源状態に応じた漁獲量その他の管理方策を決めるためのルール。資源評価の都度決めるのではなく、事前に決めておくことが求められる。
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漁獲能力 | (Fishing) Capacity
船速や魚群の探索能力なども加味した漁業による潜在的な漁獲能力を意味し、Carrying Capacity(魚艙容積)とは区別する必要がある。
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現在(最新)の F | Fcurrent
資源評価を実施した時点での推定精度が良いと考えられる最も最近の年もしくは数年間平均の漁獲死亡係数(F)。通常、資源評価の最終年の F の推定精度は悪く、F は年変動が大きいことから最終年を含めた数年分の F は使わずに最終年から数年遡って 3 年程度の算術平均もしくは幾何平均をとることが多い。また、統合資源評価モデルや VPA では、年齢によって F の値も異なるので、特定の年齢(例、最高齢)の F、全年齢の最大値、ある管理基準(例:FMSY)に対する相対値を使ったりする。どの年を使用するか、どの求め方で出すかは各 RFMO あるいは魚種によっても異なる。
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神戸プロット | Kobe chart (plot)
横軸に資源量(親魚量)、縦軸に F をとって、年ごとの値を図示したグラフ。通常、管理基準(例、 BMSY, FMSY)に対する相対値を使い、各象限を赤(SSBFMSY)、黄(SSBFMSY)、緑(SSB>BMSY かつ F
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国際自然保護連合 | IUCN (International Union for Conservation of Nature)
1948 年に設立された国家、政府機関、非政府機関で構成された国際的な自然保護機関。世界中の生物多様性保護に取り組む専門家からなる 6 つの専門委員会(種の保存委員会、世界保護地域委員会、生態系管理委員会、教育コミュニケーション委員会、環境経済社会政策委員会、環境法委員会)を有する。
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国連海洋法条約 | UNCLOS (United Nations Convention on the Law of the Sea)
海洋法秩序に関する包括的な条約として、1982 年に第三次国連海洋法会議において採択され、1994 年 11 月に発効。
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コホート解析 | VPA( Virtual Population Analysis), Cohort Analysis
同一年級群(同じ年生まれ)の魚の資源尾数を、年齢別漁獲尾数を用いて計算する方法。年齢別漁獲尾数は正確に分かっていると仮定している。
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最新年の親魚量 | SBlatest
資源評価の最新年の時点の親魚量、WCPFC で使用されており他の RFMO での SSBcurrent と同義。
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竿釣り | Bait boat, Pole and Line
海の表層に分布するカツオ、ビンナガ、キハダ等を生餌を撒いて集群させ、擬餌鈎又は餌の付いた竿で一尾ずつ釣り上げる漁法。カツオの一本釣りが有名。
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刺し網(さしあみ) | Gill net
水中に広げた網の網目に魚体をからめる漁具。水底への固定の有無や、形状でさまざまに分類される。→流し網、大目流し網、反(たん)
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(産卵)親魚量(重量) | SSB (Spawning Stock Biomass)
SB(Spawning biomass)ともいう。特に WCPFC では SB が用いられる
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資源水準 | Stock status
過去 20 年以上にわたる資源量(漁獲量)の推移から、「高位、中位、低位」の 3 段階に区分。
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資源動向 | Stock trend
資源量や漁獲量の過去 5 年間の推移から「増加、横ばい、減少」に区分。
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資源量指数 | Abundance index
資源豊度の指標となる情報。調査による絶対量の推定値や、統計的手法を用いて CPUE(下項参照)から資源豊度以外の影響を補正して資源豊度の相対的な変化を表すようにしたものなどが用いられる。
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初期資源量(処女資源量) | B0
漁業開始前の資源量(ときには産卵親魚量を指すこともある)。漁業開始時点からデータがなければ、平均的な加入尾数と死亡率から外挿して計算することもある。
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耳石 | Otolith
魚の内耳の三半規管内にあり、カルシウムを主成分とし、有毛細胞の上にあって加速度を検出し、平衡感覚をつかさどる。耳石の成長には季節変化があるため透明帯と負透明帯が形成され、年齢を読み取ることが可能である。さらに、1 日に 1 本の細かな輪紋が形成される種もあり、これを計数することにより日齢を知ることができる。1 個体で 3 種の耳石があるが、年齢査定に用いられるのは通常、最も大きい扁平石である。
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譲個別漁獲割当量、譲渡可能個別漁獲割当量 | IQ,ITQ (Individual Quota)
漁獲割り当て量を漁業者、漁業団体または漁船ごとに配分する方式(IQ)。IQ で、割り当てを他者と取引することが認められているもの(ITQ)。
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人工浮き魚礁、集魚装置 | FAD, FADs (Fish Aggregating Devices)
人工的に集魚する目的で作られる人工筏、ブイ等。RFMO の管理上は集魚効果のある浮遊物全てが含まれる場合がある。
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水温躍層(すいおんやくそう) | Thermocline
海中の上下方向に水温が急激に変化する部分を指す。温度躍層は主水温躍層と季節躍層に分けられる。赤道域ではそのうち主水温躍層が主に見られ、海面付近では日射により海水温は高い状態にあるが、深度数百 m より深い場所では 1 年を通じて水温が低い状態でほとんど変化しない。主水温躍層はこの温度差によって生じる。
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スティープネス | Steepness
Beverton-Holt もしくはRicker 型の再生産モデルの理論的に定められる初期資源量(処女資源量)とそれに対応する加入量に対して親魚量が初期資源量の 20%のときに再生産モデルから決定論的に期待される加入量の初期資源量に対応する加入量に対する比。再生産モデルの密度補償効果の程度を示している。0.2 から1 の間の値を取り0.2 の時は、密度補償効果がないことを意味し、1 の時は親魚量に関わらず一定の加入量が得られることを意味している。
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ストラドリングストック | Straddling stock
複数の(漁業管理上の)海域をまたいで分布する漁業資源。
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素群れ操業(すむれそうぎょう) | Free swimming school set
流れ物操業と異なって魚群が蝟集する対象がない群れに対する操業、海鳥や餌魚がいる場合がある。
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成長乱獲 | Growth Overfishing
漁獲圧が高く、充分成長する前に漁獲されてしまうこと。
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生物学的管理基準 | BRP (Biological Reference Point)
当該年の資源量に当てはめてABC あるいは適切な漁獲死亡係数を算出する。通常は漁獲係数(F)に基づくが(例:FMSY、Fmed、Fmax など)、直接的に資源量や親魚量などを基準とする場合もある。
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生物学的漁獲可能量 | ABC (Allowable Biological Catch)
漁獲割り当てを決定するための科学的な根拠となる量。
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生物学的最小形 | Minimum size of matured individual
性的に成熟する最小サイズ。体長で表されることが多い。
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底びき網(底曳網) | Bottom trawl
海底を曳き回すことで漁獲を得る袋状の網漁具。形状や海域などでさまざまに分類される。
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対数正規分布 | Lognormal (Distribution)
自然対数をとると正規分布となる分布。正の値のみを取り右にすその長い分布になっている。生物現象を説明するのに用いられることが多い。
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体長 | Body length
まぐろ類、かつお類、かじき類については尾叉長、さめ類については全長・尾鰭前長・尾叉長、鯨類については上顎先端から尾鰭切れこみまでの直線距離、いか類については外套長、オキアミについては目前端から尾節までの長さ。
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多回産卵 | Iterotarous spawning
さけ・ますのように一生に一度しか産卵しないものと異なって、何回も産卵するもの。まぐろ類では産卵期にはほぼ毎日産卵するものが多い。
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単位努力量あたりの漁獲量 | CPUE (Catch Per Unit Effort)
標準化を行って資源量指数として使用されることが多い。はえ縄であれば(1,000)鈎当たりの漁獲尾数(重量)であるが、まき網の様に資源量指数としての努力量が自明でない漁業もある。
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反(たん)
流し網の努力量の単位。流し網などの網漁具の網一枚の単位からきている。→流し網
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地域漁業管理機関 | RFMO (Reg ional Fisheries Management Organization)
広範囲に回遊するかつお・まぐろ類等について、ある一定の広がりを持つ水域(例:インド洋)の中で、漁業管理をするための条約に基づいて設置される国際機関(例:IATTC, ICCAT, IOTC, CCSBT, WCPFC)。
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付き物操業 | Associated set
素群れ操業と異なって、自然流木・竹や人工物の漂流物、人工集魚装置(FAD)等に蝟集(いしゅう:群がり集まること)した魚群に対する操業。
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突きん棒 | Harpoon
通常小型漁船を用い、海の表層にいる魚を視認して銛(もり)を打ち込んで漁獲する漁法。
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定置網 | Set net, Trap net
海中に設置される袋型あるいは箱形の網漁具。沿岸に回遊する魚類等を対象とする。形状や規模でさまざまに分類される。
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統計的年齢別漁獲尾数モデル(Statistical Catch at Age Model)の一つ | ASAP (Age Structured Assessment Program)
統合資源評価モデルの一種、ADAPT-VPA の様々な仮定(年齢別漁獲尾数は正確、漁具能率一定等)を緩めた資源評価モデル。
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統計的ハビタットモデル | Statistical habitat model
ハビタットモデルでは、記録式標識などから得られた外部情報(例えば水深分布)を魚の好適生息環境指数(HSI)として直接用いるが、統計的ハビタットモデルでは、漁具の設置位置と別途得られた環境データからモデル内で統計的に HSI を推定し、CPUE の標準化を行う。
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統(とう)、ヵ統(かとう)
定置網の努力量の単位。12 あるいは 16 反の連続した網を数える単位からきている。→定置網
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トリライン | Tori-line
まぐろはえ縄船において海鳥の混獲を防ぐ目的で船尾付近に立てたポールに、ロープが付けられるとともに、他の目立つビニールテープ等が付けられ、船尾から流して投入した仕掛けに海鳥が掛かるのを防ぐ。
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流し網(ながしあみ) | Drift gill net
水底に網を固定しない、刺し網の一種。→刺し網、大目流し網
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南極前線(南極収束線、南極収斂線) | Antarctic front (Antarctic convergence line)
南極の周囲の南緯約 45 度から 60 度にある、暖流(亜熱帯海流)と寒流(南極海流)の境界。位置は一定していない。この境界では水温、塩分などの海洋環境が大きく変化し、気象上の前線も形成される。また、海洋生物の分布の境界としても重要。
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年齢構成プロダクションモデル | ASPM (A ge Structured Production Model)
資源の年齢構成は考慮するが年齢別漁獲尾数あるいは年齢組成データを使用しない。プロダクションモデルと VPA の中間的な資源評価手法。
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(ノンパラメトリック)ブートストラップ法(ブーツストラップ法) | (nonparametric) Bootstrapping
元のデータから無作為にデータを選び直すシミュレーションを繰り返すことにより仮想のデータを大量に作成して、その分散や平均を計算することによって推定値の精度や偏りを検討する方法。一般にブートストラップ法(Bootstrapping)という場合には、ノンパラメトリックなブートストラップ法を指すことが多い。→パラメトリックなブートストラップ法(parametric bootstrapping)
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排他的経済水域 | EEZ (Exclusive Economic Zone)
沿岸国の領海基線から 200 海里(約 370 km)までの海域(領海部分を除く)であって、この海域における生物資源、海底資源の採取や管理等に関して、当該沿岸国の主権的権利が及ぶとされる海域。
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はえ縄(延縄) | Longline
海の中層を遊泳する中・大型のまぐろ類を主として狙う釣り漁法。大型船では 1 日に 100 km 以上に及ぶ長い幹縄を用い、それに釣り鈎の付いた枝縄を 2,500 本程度設置して漁獲する。餌としてイカ、アジ類、サンマ等を用いる。1 尾毎に釣り上げるため、魚の身質を高度に保つことができる。
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ハビタットモデル | Habitat model
CPUE の標準化において、魚の分布(好適生息環境指数、HSI)と漁具の分布を考慮して漁具の有効努力量を標準化するモデル。HSI は記録式標識などで収集した遊泳水深や水温データ等が用いられ、かじき類等、鉛直方向の分布が非常に浅いところに偏っていたりすると有効な手法。魚の鉛直分布と鈎の鉛直分布からはえ縄の有効努力量を補正するモデル。主に南西太平洋と東部太平洋のまぐろ類、かじき類で用いられている。ヒントン・中野モデルとも呼ばれる。
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繁殖価(繁殖ポテンシャル) | Reproductive value
繁殖価及び繁殖ポテンシャルは年齢が異なる個体や資源の再生産上の価値を相対的に比較するための概念である。繁殖価はある魚を漁獲しなければ将来どれだけ子孫を残すかを表す。個体の再生産能力の指標として使用される。
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パラメトリックブートストラップ法(ブーツストラップ法) | Parametric bootstrapping
最尤法等で確率分布を仮定したモデルをデータに当てはめ、推定したモデルから仮想のデータを大量に作成して、その分散や平均を計算することによって推定値の精度や偏りを検討する方法。→ノンパラメトリックブートストラップ法
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ひき縄(曳縄) | Troll fishery
海の表層に分布するまぐろやかつお、時にはかじき類を対象にルアー(擬餌鈎)や生餌を使って行なう曳き釣り漁法。まぐろやかつおの小型魚が主として漁獲される。
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Hitter・Fitter 法 | HITTER-FITTER
過去の捕獲頭数と資源量推定値並びに年齢別死亡率などの生物学的特性値などの入力データを用いて、資源動態モデルにより初期資源量や捕獲開始以降の毎年の資源量を推定するプログラムで、IWC においてヒゲクジラ類の資源変動傾向に用いられている。
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非平衡プロダクションモデル | Non equilibrium surplus production model
資源が平衡状態にあることを仮定して推定する通常のプロダクションモデルに対し、その仮定を用いず非平衡状態でも適用可能なプロダクションモデル。現在は、こちらの方を用いるのが一般的。
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標識放流 | Tag release
個体に識別標識(ビニール製の細長い標識やひれの一部を切りとる等)を装着し、放流と再捕時の情報から対象生物の成長、死亡率、回遊に関する知見を得る。資源量推定に用いられる場合もある。
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標準化 CPUE | Standardized CPUE
Nominal CPUE の年々の変動に含まれる、対象魚種の変更や漁具の改良などの資源変動以外の要因を補正した CPUE。補正を行うことを標準化と言う。標準化には GLM の様な統計手法等が用いられる。
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表層漁業 | Surface fishery
海の表層にいる魚群を対象とする漁法。まき網、竿釣り、ひき縄等が該当する。
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表層混合層の厚さ | Mixed Layer Depth(MLD)
上下混合のために海水温がほぼ一定となっている海面近くの層の海面からの深さ。
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表面水温 | SST (Sea Surface Temperature)
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尾叉長 | Fork Length
吻端から尾の切れ込みまでの長さ(かじき類では下顎前端や眼窩後縁から)。
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ピンガー(音波標識) | Pinger (ultra sonic tag)
魚類等に装着して用いられるのはパルス信号を発する小型超音波発信機。温度・圧力等のセンサー情報を送信することも可能で、行動生態・生息環境情報をリアルタイムで収集できる。超音波伝播距離が限られるため、通常、ピンガーからの信号を頼りに装着した魚類等を調査船で追跡するか、行動範囲に受信装置を配置する形で調査を行う。
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深縄(ふかなわ) | Deeper set
まぐろはえ縄において深い水深にいるメバチ等を狙って枝縄を深く入れる操業方式。通常は一鉢あたりの釣り鈎数(枝縄)を多くして(10 本以上)、到達水深を深くする(200 〜 350 m)。
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分離浮性卵 | Isolated (epi) pelagic egg
卵のタイプで産卵後に海面近くを漂い、かつ何かに付着したり塊になったりするための粘着性を持たない卵。
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プラスグループ | Plus group
VPA やコホート解析において、ある年齢以上をまとめた年齢群。
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プロダクションモデル(余剰生産モデル) | (Surplus) Production Model
個体群の増殖曲線を基に、資源量と余剰生産量(加入+成長−死亡)の関係をあらわすモデル。データとして漁獲量と CPUE(努力量当たり漁獲量)を用いる。
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平均最大持続生産量 | AMSY (Average Maximum Sustainable Yield)
平均的な加入量での最大持続漁獲量。平均的な加入量が維持され Fmax で漁獲を続けたときに達成される。IATTC が用いている。
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変動係数 | CV
測定のスケールが異なるデータのばらつきを比較するときに求める。標準偏差を平均値で除し 100をかけたもの(%)。CV によりスケールの異なるデータのばらつきを直接比較することができる。
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ベイズ型プロダクションモデル | BSP ,BSP2 (Bayesian Surplus Production Model)
プロダクションモデルの各パラメータに事前分布を導入してベイズ的なアプローチを取り込んだプロダクションモデル。近年、ICCAT では、標準的な資源評価手法の一つとして使われている。
BSP2 は、資源量のプロセス誤差をモデル化できるようにした BSP の拡張版。
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ベイズ統計 | Bayesian Statistics
ベイズの定理に基づいて構築された統計学の流派。近年の計算機の発達によって現実的なモデルが取り扱えるようになったので急速に水産の分野にも普及してきた。
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便宜置籍船 | Flag of Convenience Vessels
税制上の優遇措置を得るため、便宜的に他国籍へ置籍した船。近年では漁獲規制から逃れるために行われることもある。
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ポジティブリスト | Positive list
IUU 漁業の台頭により、これと区別するために正規漁業であることを証明する漁船リスト。まぐろ類に関する各国際漁業委員会で作成。
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ポップアップタグ | Pop up tag
浮上式標識。魚類等に装着した標識はあらかじめ設定した日時に魚体から切り離され浮上し人工衛星経由で浮上位置等を送信する。装着した魚類等が再捕されなくても移動情報が収集できる。また、アーカイバルタグと同様に連続した情報をメモリーに保存し、浮上時に送信するアーカイバル・ポップアップタグも使用されている。
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まき網(旋網、巻網) | Purse seine
まぐろや他の表層性浮魚類を漁獲する漁法。巾着のような大きな網を用いて魚群を一網打尽とする。アメリカで発達したことから、アメリカ式巾着網と呼ばれた。大量に漁獲するため、漁獲物の品質はそれほど良くない。小型魚も多く漁獲する。
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(まぐろ)養殖・畜養 | (tuna) Farming/Fattening
一般的には畜養(fattening)は比較的短期間(数か月)の給餌養殖を指し、養殖(farming)は稚魚もしくは幼魚から比較的長期間(数年)の給餌養殖を指すことが多い。しかしながら農林水産省の定義では、短期、長期の給餌養殖のどちらも養殖となる。また、数か月の養殖をfarming と記載することもあり、日本語での養殖・畜養、英語での farming/fattening は厳密に区別されていない。国際魚類資源の現況の中では、原則として比較的短期間の養殖については、畜養(養殖)と記載し、長期間の養殖は、養殖と記載することとする。
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有効努力量 | Effective effort
単位当たりの漁獲努力量が漁獲死亡係数(F)に比例する努力量。
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予防的取り組み | Precautionary approach
(漁業活動による)資源、環境、人間に対して予測される脅威を、脅威の不確実性と脅威の評価が間違っている可能性も考慮した上で、可能な範囲で避けるために(事前に)合意された、効率的な(今後の措置も含めた対策)措置。
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乱獲行為(過剰漁獲) | Overfishing
狭義には、漁獲(死亡)係数がある最適な水準(例えば FMSY)よりも高くなることをいい、漁獲割当量よりも実際の漁獲が上回る場合にも使われる。過剰漁獲という場合もある。
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乱獲(状態) | Overfished
漁獲が続くことにより、これ以下では資源状態が、適切ではないと考えられる閾値の資源量を下回った状況。例えば BMSY を下回れば、乱獲状態と判断される場合もある。資源状態で判断するので漁獲(死亡)係数は低くとも乱獲状態と判断される場合や、逆に漁獲(死亡)係数は高くても乱獲状態ではないと判断される場合もある。
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ランダムウォーク | Random walk
加入量変動を考えるとき、そのばらつきが単に平均の周りでランダムにあるのではなく、ある年の加入量はその前年の加入量の近辺でばらついていると考えられることがある。このような現象をランダムウォークや自己相関(過程)と呼ぶことがある。このような加入量の変動パターンが見られる原因はいくつか考えられるが、長期的な環境変動の加入変動への影響などが考えられる。
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レトロスペクティブ解析(分析) | Retrospective analysis
VPA、プロダクションモデル等の資源評価モデルでは、最新年のデータを追加して資源評価を更新すると、過去の期間の推定値が傾向をもって変化することが観察されることが多い。このような傾向をもった変化が見られるかどうかを、最新年から、1 年ずつ数年(5 年から 10 年程度)データを削除して資源評価モデルによる資源量、漁獲死亡率等の推定値を計算してみることで検証すること。
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ワシントン条約(サイテス:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約) | CITES (Conservation on international Trade in Endangered species of wild Fauna and Flora)
絶滅の恐れのある野生動植物の国際取引がある輸出国と輸入国が協力し規制を実施することにより、それらの採取・捕獲を抑制し保護を図ることを目的とする条約。IUCN が中心となり条約作成準備が行われ、1973 年にアメリカのワシントンで採択、日本は 1980 年に締約国となった。対象となる動植物種の絶滅のおそれの度合いにより同条約附属書I − III のいずれかに記載され、国際取引の規制が実施される。
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%SPR
漁獲がないとき(F=0)の SPR を 100 としたときの漁業があるときの SPR の割合。
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A-SCALA (Aged-structured Statistical Catch-At-Length Analysis)
IATTC で資源評価に用いられている、漁獲量、努力量及び体長組成データを用いた統合資源評価モデル。モデル内で漁獲物の体長組成を年齢組成に変換するのが特徴。複数の漁法(年齢別選択制が異なる)に対応し、努力量と漁獲死亡係数の関係に誤差があること、漁具効率に経年変化があること、加入量に変動があること、環境要因と加入量、漁具効率に何らかの関係が予想されることなどを考慮できるのが特徴。Multifan-CL との違いは、海域間の移動を考えない点。
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ADAPT-VPA
年齢別漁獲尾数と CPUE などの資源量指数を用いて年齢別資源尾数を推定する VPA の一種。北米東海岸の資源評価及び ICCAT、NAFO において年齢別漁獲尾数データが得られる場合のスタンダードな資源評価手法となっている。
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ASPIC (A Suite of Surplus Production Model Incorporating Covariates)
非平衡プロダクションモデルの一種。年齢別漁獲尾数データが得られない場合に使われることが多い資源評価手法。最新のASPIC では、推定する各パラメータに事前分布を設定することもできる。
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Baveg
平均加入量 Raveg に対応する(産卵)資源量(BMSY の代用値)。
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Blimit
望ましくない資源状態になる確率を最小にすることができる B の下限値。
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Beverton-Holt 型再生産曲線
親魚量と加入量の間の関係式の一つ。親魚量が少ないと親魚量にはほぼ正比例して加入量が増加するが、親魚量の増大につれて密度効果により加入量の増加は頭打ちとなる。
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CASAL (C++ Algorithmic Stock Assessment Laboratory)
ニュージーランドで広く使われている資源評価モデル。統合資源評価モデルの一種で複数種、系群、回遊をモデル化することができる。
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Critical Weight
理論的に加入量当たり漁獲量を最大にできる体重。漁獲物の平均体重がこの値に近ければ近いほど最大の漁獲が得られる。
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F0.1
YRP と F の関係を表す曲線において原点における傾きの 1/10 の傾きに相当する F(右図)。経験的に安全な管理基準で広く用いられる。
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FSSB-ATHL
WCPFC 北小委員会で決定した、北太平洋のビンナガの管理基準、過去の親魚量の最小値から10 番目までの平均を、将来 25 年間で一度でも割り込む確率が 50% になる F。
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FSSBx%
将来の親魚量が、過去の歴史的な親魚量の変動の下限(最小値)から x% の親魚量(例えば過去 100 年間の親魚量の変動のデータがあるときに最小値から順番に過去の親魚量の値を並べたときの x 番目の親魚量)を一度も下回らないようにする F。
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Flimit
資源生物学的に望ましくない資源状態になる確率を最小にすることができる F の上限値。
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Floss
親魚量を、Bloss で長期的に維持できることが期待される F。一般的は、親子関係式から、Bloss に対応する加入量をもとめて Bloss と求められた加入量のもとで持続的な F として得られる。
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Fmax
年齢別選択率を固定したときに加入量当たり漁獲量を最大にする漁獲係数(F)。元々の定義は漁獲開始後の選択率は変わらないとして考えるが、実態にそぐわないので使われない。
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Fmed
親魚量と加入量の関係(毎年のデータ点のプロット)で中央値(メディアン)に対応する F(右図)で、Fmedで漁獲すると資源量は安定することが期待される。
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Fratio
VPA で最高齢とプラスグループの漁獲死亡係数の比。
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Ftarget
確実な資源の維持・回復を期待する場合の目標となる F。
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Limit Reference Point
各 RFMO で定めた管理目標に基づき逸脱する確率を最小にとどめるべき資源の水準(B:資源量あるいは親魚量)もしくは漁獲係数(F)あるいは両方。F の場合は上限値となり、B の場合は下限値となる。
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MSY (Maximum Sustainable Yield)
最大持続生産量 プロダクションモデルなどに基づく最も有名な管理目標(右図)。古典的な定義は、資源を持続的に利用可能な最大の毎年一定の漁獲量を指す。現代的な定義は、資源変動のあるなかである特定の管理方策(一定漁獲死亡率(漁獲率)あるいは、一定率の取り残し等)で長期的に実現可能な最大の漁獲量の平均を指すことが多い。
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Multifan-CL
統合資源評価モデルの一種。WCPFC での資源評価で主に使用されている。漁獲量、漁獲努力量、体長データ、標識再捕データなど多くの情報を取り込み、体長データを積極的に活用する。海域間の移動もモデル化しており、海域毎の資源量の計算も可能である。
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NEI (Not Elsewhere Included)
漁獲国を特定できない漁獲量を示す。ICCAT、FAO 等で使用している。
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Nominal CPUE
対象魚種の変更や漁具の改良などの資源変動以外の要因の補正(標準化)をする前の漁船や調査船の生の漁獲データと努力量のデータから計算した CPUE。
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PBR (Potential Biological Removal)
最小個体数推定値、純増加率、回復係数により算定される捕獲枠決定方式。
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SBF=0
ある再生産関係の元で漁獲が無かったときに期待される親魚量。WCPFC で使用されている。再生産関係は Beverton-Holt 再生産式のような理論的なものだけでなく過去の特定の年代(例、最近 10 年)の加入からのリサンプリングによるシミュレーションでも良い。
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SBR (Spawning Biomass Ratio)
IATTC が用いている漁業がなかったと仮定したときに期待される産卵親魚量とある年の産卵親魚量の比(St/SF=0)。資源が定常状態である場合を除いて %SPR とは異なる。
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SS (Stock Synthesis)
漁獲量、CPUE、体長組成データを組み込んだ年齢構成モデル。Multifan-CL や A-SCALA と同じくいわゆる統合資源評価モデルの一種。米西海岸の底魚資源の標準的な資源評価モデル。IATTC及び ISC でのまぐろ、かじき類及びさめの資源評価でも使用されている。最近では、ICCAT、IOTC での資源評価でも使用されている。
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Target Reference Point
各 RFMO 等で定義された管理目標(management objective)に基づき、“ 平均的に ” 達成すべき水準(資源水準と漁獲係数の両方あるいは一方、例、BMSY、FMSY)。ただし、“ 平均的に ” というのは各 RFMO あるいは魚種毎に、特定の何らかの確率的な形で定義されることが多い。
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VPA-2 Box
ADAPT VPA の一種で ICCAT や米国メキシコ湾岸の資源評価で用いられている。空間構造、性別を考えない通常の ADAPT VPA の他に雌雄を区別したり、2 海域までの空間構造、2 系群が混合している状況に用いることができる。
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