本種は重要な水産資源であり、資源生態に関する調査研究は古くから進められてきた。分布・回遊、年齢・成長・寿命、成熟・産卵に関する知見は、学術論文や報告書として蓄積されており、資源評価の基礎情報として利用可能である。漁獲量・努力量データの収集、調査船調査等の定期的な科学調査等のモニタリングが毎年行われている一方、水揚物の生物調査は十分ではない。このように定期的に収集される漁業データ、科学調査データに基づき、雌雄別資源量が推定され、資源評価が毎年実施されている。資源評価の内容は公開の場を通じて利害関係者の諮問やパブリックコメントを受けて精緻化されている。
資源水準の区分のため、雌雄合計の資源密度指数の5年移動平均について、2009年時点の最高値(7.1:2005年)と0の間を三等分し、2.4未満を低位、2.4以上4.7未満を中位、4.7以上を高位とした。2017年の資源密度指数(過去5年平均)は7.9であることから、資源水準は高位である。資源動向は、雌雄合計の資源量の最近5年間(2013~2017年)の推移から、増加と判断した。
現状の漁獲圧(Fcurrent)はFlimit(F30%SPR)よりも十分に低く、3世代時間(33年)以内の絶滅確率は1.06E-36%であることから現状の漁獲圧において資源が枯渇するリスクは極めて低い。資源評価結果を受けてTACが生物学的許容漁獲量(ABC)に等しく設定されて、水産政策審議会で承認されており、不確実性を考慮した管理基準が設定されているが施策には反映されていない。漁業管理については水産庁水産政策審議会資源管理分科会において有識者や利害関係者から構成される委員を含めた検討が行われており、本海域において、遊漁、外国漁船およびIUU漁業による漁獲はない。算定されたABCは、水産政策審議会を通じてTAC設定などの漁業管理に反映される仕組みが確立されている。