日本海B海域におけるズワイガニは、小型底びき網漁業と刺網漁業によって主に漁獲されており、主要な生産県は新潟県と山形県であり、漁業収入については比較的高い水準で推移していたが、収益率のトレンドは当該海域のデータが得られなかったため、全国平均値を用いた結果、収益率のトレンドは高く、漁業関係資産のトレンドは小型底びき網の5~10トン階層の平均値を用いた結果低かった。経営の安定性については、収入の安定性は中程度であったが、漁獲量の安定性はやや高く、漁業者組織の財政状況は高かった。操業の安全性は死亡事故がなく高かった。地域雇用への貢献は高いと判断された。労働条件の公平性については、漁業で特段の問題はなかった。
各県の魚市場数は新潟県18、山形県7であり、山形県は規模が大きく新潟県は規模が小さいわりに買受人数が比較的多く、競争原理が働きやすい環境にある。また、水揚げ情報、入荷情報、セリ・入札の開始時間、売り場情報については市場関係者に公表されており、取引の公平性も担保されている。カニ類の輸入関税率は基本6%であるが、冷凍物について経済連携協定(EPA)によりメキシコ、オーストラリア、ペルーで無税、ASEANで4%となっている。また輸入の際、事前確認品目に挙げられている。卸売市場整備計画により衛生管理が徹底されている。ほとんどは生鮮または活で出荷され、ほかに浜ゆでと呼ばれるボイル加工がある。加工・流通における労働の安全性の評価は中程度、労働条件の公平性は比較的高いと想定される。以上より、本地域の加工流通業の持続性は概ね高いと評価できる。
先進技術導入と普及指導活動は高く、物流システムは整っていた。地域の住みやすさはやや高かった。水産業関係者の所得水準はやや低目であった。地域文化の継承については、漁具漁法の継承は中程度、加工流通技術の継承性はやや高いと評価された。