本種は重要な水産資源であり、資源生態に関する調査研究は古くから進められてきた。分布・回遊、年齢・成長・寿命、成熟・産卵に関する知見は、学術論文や報告書として蓄積されており、資源評価の基礎情報として利用可能である。漁獲量・努力量データの収集、調査船調査等の定期的な科学調査、漁獲実態のモニタリングも毎年行われている。このように定期的に収集される漁業データ、科学調査データに基づき、かご漁業の資源量指数を使用した資源評価が毎年実施されている。資源評価の内容は公開の場を通じて利害関係者の諮問やパブリックコメントを受けて精緻化されている。
資源水準の区分は、1978~2017年の資源量指数の最高値と最低値の間を3等分する境界とした。高位と中位、中位と低位の境界は、それぞれ738×103、524×103である。2017年の資源量指数は622×103であることから、中位と判断されている。資源動向は、直近5年間(2013~2017年)の資源量指数の推移から、横ばいと判断されている。
直近5年の資源評価結果では、漁獲量が生物学的許容漁獲量(ABC)を下回ったのは5年、上回ったのは0年であり、3世代時間(33年)以内の絶滅確率は1.32×10-49であることから現状の漁獲圧において資源が枯渇するリスクは極めて低い。資源評価結果を受けてABCが設定され、その値は大臣許可漁業船に対する、個別割当量に反映されている。不確実性を考慮した管理基準が設定されているが、施策には反映されていない。遊漁での採捕量は確認されていないが、韓国による本系群の漁獲量が把握されており、韓国のバイかご漁業による小型ベニズワイガニの混獲低減を提言している。