ウルメイワシ太平洋系群は太平洋南区を中心にまき網などで多獲される魚種であるが、マイワシやカタクチイワシなど他の浮魚類に比べると、資源生態に関する調査研究は少ない。漁獲量・努力量データの収集、定期的な科学調査、漁獲実態のモニタリングも毎年行われている。このように定期的に収集される漁業データ、科学調査データに基づき、年齢別漁獲尾数が推定されている。
対象資源は、資源水準に関して長期の時系列データがあり、かつ漁業に依存しない産卵調査の結果から算出した産卵量を資源量指標値として、2015年は高位と判断している。また、動向はコホート解析により推定した資源量の最近5年間(2012~2016年)の推移から、増加と判断している。
対象資源現状の漁獲圧で漁獲を継続しても、資源水準は維持されると推定され、高位水準であることから、資源量はBlimit以上であると判断している。将来予測でもBlimitを大きく下回ると推定されておらず、現状漁獲圧での資源枯渇リスクも低いと考えられる。現状の資源水準が良好なため、資源評価結果が資源管理の場に反映される仕組みが機能していない面も見受けられる。