ニギス太平洋系群の分布と回遊は、成魚について漁獲位置の情報があるが、仔稚魚や未成魚の分布には未解明な点も多い。成長や成熟に関する生物学的特徴は土佐湾についてのみ断片的な情報が得られている。漁獲量の把握に関しては、その漁業実態は一部について長期間利用可能であるが、水揚物の生物調査は実施されていない。資源評価は熊野灘の沖合底びき網漁業1そうびき(かけまわし)の資源密度指数の経年変化に基づいてなされている。資源評価結果は公開の会議で外部有識者を交えて協議され毎年公表されている。
過去39年間の資源量指標値の推移から資源水準は低位、最近5年間(2015〜2019年)における資源量指標値の推移から資源動向は減少と判断した。
資源の水準・動向は低位・減少であるため、現状の漁獲圧が資源の持続的生産に与える影響や資源枯渇リスクはあると考えられる。漁業管理方策は策定されていないため、評価結果及び予防的措置は資源管理に反映されていない。資源は環境変化に影響を受けていると考えられるが、資源評価において環境の影響は考慮されていない。外国による漁獲の影響は考慮されていないが、外国船の漁獲はない。