愛知県・三重県の船びき網漁業は知事許可漁業であり、漁業調整規則により操業期間の制限、操業禁止区域の設定等が行われている。さらに資源管理指針において公的規制を上回る操業期間の制限に取り組むとされている。2016年以降は資源量の減少にともない自主的に禁漁を行っている。これらのことから愛知県・三重県の船びき網にはインプット・コントロールが導入されている。テクニカル・コントロールとして、愛知県・三重県の船びき網では目合いの規制があり、両県漁業者の協議でイカナゴの成長に合わせて自主的に解禁日を決定する措置が執られている。さらに親魚保護を目的として残存資源尾数が20億尾を下回ると認められる日から禁漁にするとされている。伊勢湾・三河湾イカナゴ資源回復計画、引き続く資源管理指針に基づく資源管理計画では保護区域の設定及び保護休漁の措置に取り組むとされている。
イカナゴ伊勢・三河湾系群の生息域をカバーする管理体制が確立し機能している。県当局がそれぞれ複数の取り締まり船により日常的に漁船漁業の監視・取り締まりを行っており、操業期間の違反等については水揚げ港等での漁協職員等による監視も可能である。各県漁業調整規則等に違反した場合、漁業法、各県漁業調整規則の規定により十分な罰則・制裁が課される。愛知県・三重県の船びき網について、県の資源管理指針において管理目標、管理施策が存在し、5年ごとに計画の成果を評価し計画を見直すこととなっており、順応的管理の仕組みは部分的に導入されていると考えられる。
対象となるすべての漁業者は漁業者組織に所属しており、特定できる。愛知県・三重県の関係漁業者組織は2016年以降自主的に禁漁を実施するなど、資源管理に対する影響力は強い。漁業者、漁業者組織代表は漁業管理に関係する会議への出席等を通して資源の自主的管理、公的管理に主体的に参画している。資源管理の意思決定を行う各レベルの会合には、それぞれ学識経験者をはじめ幅広い利害関係者が参画する仕組みが作られており、施策の意思決定については、資源管理指針に則り、定期的に目標と管理措置の検討、見直しが協議されている。